徳井正樹の「小坂山日記」

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2011年 01月 22日

竣工前夜

3年越しの住宅が竣工する。
現場気温は1℃。
その中、建具屋さんが木製網戸の最後の調整を続けている。

親子、孫、曾孫の四世代が一つ屋根の下に暮らす。
今では珍しくも羨ましい家族が住まう家を支えるのは、栗の大黒柱。
その勢いが外まで躍り出て、3本の栗の大柱が屋根を支え家人を迎える。
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考えてみれば、
親子と云ってもそれぞれ別の世界を持って実社会と接している。
家とは、多くの個人にとってみれば、
誕生から成人一歩手前で家を飛び出す20年弱の時間を、
家族に見守られながら鍛え育む助走路のようなものかもしれない。

ならばこそ、
揺るぎない安心感が、家の「柱」でなければならないと思う。

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-22 07:13
2011年 01月 19日

マイ大黒柱de家づくり5

前4回まで「大黒柱伐り出し体験会」の様子を伝えたが、
今日からはその続き。
つまり、実際に丸太がどう使われるのか!を実際の現場進行に合わせて発信しよう。
ただしこれは長丁場。そのあたりのこと、じっくりとお付き合い願いたい。
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写真は伐り出してきた丸太。さながら広葉樹の見本市のようだ。
左から、カツラ、キハダ、シオジ、ケヤキ、シオジ、ニレ?、サクラ、、、。
実はこれ以外にも、クリ、クルミなど20本の広葉樹を使い分けなければならない。
これらをその樹種と径、曲がりなどのポテンシャルを存分に活かしながら
一軒の住宅の適材適所に組み込んでいくわけだ。

これには、相当な知識量が必要であることは云うまでもない。
これまで、何度かこの手の場面に遭遇し、その度ごとに満足と失敗を重ねてきたが、
ここまで、豊富な樹種を使い分けるのは正直初めてである。

樹種の価値と癖。個体別の曲がり+捻りの読み。組み込む部位での役所、などなど。
とても直感に頼る事など出来ず、林業家、材木商、大工、木工作家など、
様々な時間軸と場面で木を扱う職人達の言葉を総合化させ、
その難解な方程式を解いていく作業となる。

しかし、これが楽しいのだ。

今日の業務は、ただただこれに終始。
それでも半分ぐらいしか踏ん切れずに終わった。

つづく、。

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-19 17:52
2011年 01月 10日

薪暮らし

新春三日続いたの気合いブログでしたが、
良い意味で力が抜け、漸く何気ない日常が始まりました。
そこで、二年目を迎えた薪ストーブ生活の顛末の続きと参りましょうか。

2009年、念願のストーブが点火してニコニコ顔の私に
最初に突きつけられた課題はやはり”薪の手配”でした。
炎生活に向け、少しはストックのあった薪も、
暖を囲むと、嬉しいもんですから直ぐに底を尽き、
急場のしのぎで掻き集めたのが「大工さんの木っ端」でした。
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これは設計屋の強みでしょう、、、、
樹種、寸法、形状も様々な木っ端は直ぐに揃いました。
ただ、焚き付けに持ってこいのタモ枠やナラなど広葉樹の床板に混じって
時に年輪の中のヤニが煙突にいたずらをする松や杉、ヒバなどの針葉樹もあり、
決して望ましいモノではありませんでした。

そんなことで、過日書き込んだエンジンチェーンソーを買い込み、
(何かはじめる時、直ぐに新しい世界の道具が欲しくなるのは男のサガでしょうか?)
山にシバカリにと出たわけです。
そして一年。乾燥を確かめる意味も含めて薪割りの斧を手に入れ、
その手応え一刃が下の写真。
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切り株がスパッと裂ける音は、なかなか気分の良いものです。
薪割りはストーブライフの最も楽しい瞬間の一つですから、
乾いた株をどんどん割ってしまいます。、、、これが大変。
ただ、割った薪には乾燥状態が保たれる環境を用意しなければなりません。
続きは次回に。

そろそろ明るくなってきました。
今朝は町内年始行事の華である「どんど焼き」。
7時半点火!、の準備にこれから行ってきます。

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-10 06:44
2011年 01月 03日

柱の力

「柱」を意識する家がほとんど消えた。

構造材であるから、生活そのものに柱は不要だ。
合理的に考えれば、できれば柱など無く、
全てが移動、解放できる壁や窓で構成できる家が良いのかもしれない。
事実、それに近い住宅はたくさん出来ている。
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写真は若い家族が暮らす家。
大黒柱が食堂の脇で、この暮らしを支えている。
普通に考えれば邪魔な位置に違いない。
ちょっと無理すれば、無くすことも不可能ではない。
しかしこの柱こそ、この位置に必要な存在だと私は考える。

理由はたくさん在るが、一つあげるとすれば、
「象徴性」だろう。ただ、建物のそれではない。
この家族の世界で一つの居場所を特定し、
「やっぱり家が一番良いね」と安堵する心のシンボルでありたい。

”設計屋がそこまで出娑張るのはいかがなものか”
とも思われるかもしれないが、基本設計がまとまるまでの数ヶ月間、
その家族の新しい暮らしに何が必要かを建主とトコトン話し合い、
見いだした結論から生まれたこのプランを、
建て主は一発で承認してくれた。

そして今月、高崎から270km離れた福島県いわき市に一年点検で伺う。
さて、小さなお子さんがこの家を使い込んでいるか?
楽しみな時間を味わって来よう。

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-03 08:40
2011年 01月 02日

継ぐ家

「家を継ぐ」伴走者を務めた。
築90年の古民家。筑波山の麓、大きな農家の大改修だ。

1世紀余を生きた家は、大きな手術がされていることが多い。
理由は概して水回りの改修。
確かに電気と水道とガスが無かった時代だから、
特に、水と火に関わる暮らしぶりは、まさに様変わりだ。
その中で、大抵の住宅はキッチンと風呂を刷新して若世代に何とか納得させ、
家としての余命を待つことになる。
しかし、その家が残るか残らないかは、生活部品の優劣ではない。
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携わった「つくばの家」は、最低限の水回り改修は施したものの、
”家の求める安心感”を始めとした、暮らしの基本は変えていなかった。
ここに今回、設計者としての醍醐味と、建て主としての再満足が隠されていた。

家の間取りと構造は、その時代が要求する。
大正末期に建てられたこの家に託された使命は、
倹しい暮らしぶりと、ハレとケにそぐう平面構成。
つまり、家の主役は家族ではなく、地域の社会秩序と云ったところだろう。

それを今回、一気に「生活者主役」の家に大変身させる。
これは、9回2アウトからの大逆転に等しい。
ただ、ここからが肝心。
「そこにどんな主役が座るのか」を見定めるのが私の仕事だ。
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答えは「南に向けた対話型台所」。
家を活気づかせる舞台が裏から表に変わり、
柳田国男が云う「ケ」が主役を司る家に変身したわけだ。

この民家改修という仕事は、設計も作り手も概して利には合わない。
ただ、百年前の技が蘇り、現代の我々と会話する現場に醍醐味は深い。
毎回では大変だが、時にタフな仕事は Next へのヒントを感じるなぁ〜

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-02 07:09
2011年 01月 01日

年頭あいさつ

あけまして、おめでとうございます。
山陰では記録的な大雪ですが、群馬高崎は穏やかな元旦を迎えています。

家を建てる。
一世一代の仕事ながら、一昔前までは向かう気概はシンプルでした。
家族皆がその大事業一点に集中し、長老や親戚筋までもが、その様子を見守りました。

そして四半世紀。
家づくりは産業化し、素人が一本橋を渡る危うさを狙うがごとく、
住宅建設は営利追求の格好の対象となりました。
ひょっとしたら、多彩なスタイルが用意された結婚式選びのように、
長老親戚は勿論、親の意見すら入る余地無く。
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私の仕事の第一は、複雑に絡んだその道筋の案内役。
テクノロジーやデザインの前に、建主家族の思い、意志、目標を共有し、
我が家竣工というゴールに向かって、信頼できる地図を用意することから始まります。

今年は、その道筋に「大黒柱」というキーワードを据えました。
家づくりをシンプルに戻し、大黒柱を一緒に探すところからはじめます。

その第一弾は、1/22(土曜日)甘楽商店「家づくり教室」。
群馬の瓦屋根の見本会場で、その筋には甘楽町の迎賓館と噂の邸宅でのセミナーです。
http://kanra.exblog.jp/

今年も群馬をフィールドに、高い目標を掲げて進みたいと思います。

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-01 07:42