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徳井正樹の「小坂山日記」

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2012年 02月 03日

寒波への備え 2

今朝の拙宅、高崎小坂山はマイナス6℃
フロントガラスはバリバリに凍っている。

前述の通り、その冷え込みにも立ち向かえるだけの薪を、
二年目の薪ストーブのため何とか確保したのだが、
正月頃から、どこかで煙が逆流している感じで、どうも燃えが良くない。
どうらや去年の煙突掃除で仕掛かりとなった煙突のトップが怪しいので、
意を決して地上高8mの屋根に登る事にした。
寒波への備え 2_f0133377_85233100.jpg

屋根棟中央の人影が解るだろうか?
15年ぶりに登ってみると、その高さはスキー競技のジャンプ台を彷彿するほど。
恐る恐る棟瓦に馬乗りの形で横移動し、なんとか煙突トップに辿り着くと、
アラマ〜ビックリ!、、、、鳥除けの網には、
ねっとりとした”まるで磯海苔”の如し煤がこびり付いていた。

これでは変幻自在な煙とて、出て行く隙間が見つからないだろう。
トップ下の煙胴を外し、手持ちの工具で油染みた煤を払い、
ついでに直下に降る煙突内を上からブラシで掃除。
結局下におりて、室内の煙突とストーブ本体の全面清掃となった。
寒波への備え 2_f0133377_853549.jpg

おかげで燃えの良いこと良いこと。
きっと自分の血管もこんな感じかも?、と苦笑して終了となる。

徳井正樹

# by rijim | 2012-02-03 08:54
2012年 01月 31日

寒波への備え1

10年ぶりの大寒波。
湯島officeの窓からは、もう十日も経つのに
隣の岩崎庭園にプール大の大きさで溶けずに残る雪が
都心の気温を伝えている。

そんな中、ちょっと懐暖かい話題を。

二年目を迎える我が家の薪ストーブ。
童話に習いキリギリスにならぬよう、蟻の如くの薪集めの結果、
直ぐに燃せる薪と、来年薪になる丸太合わせて約10tが手に入った。
寒波への備え1_f0133377_16564737.jpg

寒波への備え1_f0133377_16571538.jpg

今年は、震災によるエネルギー危機を受け、
薪ストーブの受注が昨過秋から一気に高まっているそうだが、
問題は、やはり「薪の確保」。
今年も蟻のようにコツコツとを、、、続けねば。
寒波への備え1_f0133377_16574599.jpg


PS:facebook始めました。
   まだよく分かりませんが、こちらもコツコツと。
http://www.facebook.com/profile.php?id=100002607467366

徳井正樹

# by rijim | 2012-01-31 16:59
2011年 06月 21日

100日後の雄勝

宮城県雄勝。
女川の少し北、リアス式の海岸の一番奥に、いつか行きたかったその町がある。
室町の昔からこの土地を名を一躍高めたのは硯石。
黒く緻密で繊細なその特長は、近代明治には文机を飛び越え、
薄く加工され「雄勝天然スレート」として初代東京駅の屋根に葺かれた。
100日後の雄勝_f0133377_13101578.jpg


その雄勝に、まさかこういう形で行くことになるとは、、、、。

社会を担う一員として、100日を迎える震災をこの目に焼き付けるため、
そして、住宅設計者として築2年になるいわきの建て主を見舞うため、
1200キロの道のりをトランクに自転車を積んで両目を大きく見開いて廻った。

様々なメディアが悲惨な光景を伝えているなかで、
その記者らが異口同音に話すのは「来てみなければ解らない」だが、
私も全く同じ台詞を噛みしめていた。
惨状と復興を伝える役目はメディアに担って頂くしかないが、
私個人の心情を固めるにも、まだまだ時間が掛かるだろう。
16年前の阪神で、地震4日後に現場入りした際に目にした惨状とは全く異質な
「なにも無くなってしまった光景」は、行動はもとより次の思考を生み出さない。
100日後の雄勝_f0133377_1311231.jpg

写真は、高台の最奥部に一軒残った3階建ての住宅。
残念ながら3階床上まで到達したと思われる津波に襲われている。
敷地は海面から15mはあるから津波の高さは20mを越えていたことになる。
20mといえばおよそ7階建て。
水圧の高い地表を蹴り上げた底力のある水でなく、最も水圧に低い最上部の力でさえ、
人の力を遙かに超える事実を目のあたりにするとき、
私たちが判断すべき限界点を思い知らされる。


ただ信じられない幾つもの現状から、一つの確信をいただいた。
それは、「人が里を創る」という当たり前の事。
誰もいなくなった町や、港や、集落からは、何も産まれてこない。
人の体温を感じなければ、どんな風光明媚が備わっていても、人は魅力を感じない。
まずは地場産業を取り戻し、人をその場に呼び戻すことから復興は始まるだろう。
そこに欠かせないのが「家族の暮らし」という原動力と、
「力の湧く居場所」となる家が必要になる。
遠く離れた群馬の自分に何が出来、何を託されているのか?を問い、
その答えを背負って行くことが、51歳からの私の使命に加わる。

実は冒頭の「雄勝天然スレート」は、2007年より始まっている東京駅丸の内駅舎復元工事で、
1945年の空襲で焼け落ち簡易に修復した現在の屋根から創建当時の姿に戻す計画で、
100年ぶりにその雄姿を担うことが決まっていた。
来年六月完成の工程では、まさにこれから最後の屋根工事が始まるところに震災が襲った。
工場も機械も出荷前のスレートも全て流失の報告を受けた工事発注者のJRは、
海外からの代替材を考えていたところに、準備したスレートが奇跡的に
津波堆積物の下に残っている連絡が入る。
100日後の雄勝_f0133377_13343451.jpg

私も加わったJR側への嘆願書の結果「雄勝天然スレート」は、
見事、震災復興の旗印として東京駅の屋根に蘇り、現在その工事が進んでいる。
http://www.kyodonews.jp/feature/news04/post-85.html


私たちは、一つ一つの出来事を起こしていくことから創めるしかない。
そしていつも、この震災が残したものを心の何処かにおいて置かねばならない。

徳井正樹

# by rijim | 2011-06-21 13:35
2011年 06月 03日

1年目の家 3便

この食堂の主役は「建て主お手製の食卓」だ。
写真では見て取れないのが残念だが、クルミ甲板のテーブルは、
世界的に有名な2脚のデザイナーチェアに全く引け目をを感じさせない「造り」である。
1年目の家 3便_f0133377_12494141.jpg

旧宅に伺った折、まさか建主手製とは思わなかったが、後に
何と建て主は「大工志願」だったと聞いて、二度目のビックリ!
ほぼ同業界とすれば視られるところが違う。その後、こちらの緊張感は言うまでもない。
その話は当然現場にも伝わったから、今度は棟梁がやりにくい。(笑)
とは言え、棟梁の凄腕は遙かに高みを越えていく。
面、チリは使いは勿論のこと、今となっては漆喰裏の見えない仕事に、
建て主も脱帽状態であった。

引っ越し後の印象は、建主、設計屋も全く同じ。
「漸くこの食卓が居場所を見つけたね!」

徳井正樹

# by rijim | 2011-06-03 12:50
2011年 05月 29日

1年目の家 2便

前便の”素っぴんライフ”を端的に現しているのが、この薪ストーブかもしれない。
建て主が見つけてきた一品はMORSOというデンマークからの一品だ。
1年目の家 2便_f0133377_629492.jpg

小柄に見えるがこれで重さ150kg。
玄関+居間+食堂+吹抜を通じての2階子供室から寝室まで、
30畳を越える広さをカバーできる(はず)だから、その実力には驚くばかり。

その素養を受け、床と背面壁をこれまでと手法と変えてみた。
床はコンクリート小叩き仕上げ。壁は杉型枠のコンクリート打ち放し。
とかく象徴的に仕掛けるその存在を、右の漆喰壁と合わせ、
敢えて静かなモノトーンで上げてみた。
コストダウンの一巻でもあったこの選択だが、出来上がってみるとなかなか良い。

4月末に引っ越したのだから、ストーブの有り難さを感じるには半年待たねばならないが、
きっと建て主はニヤニヤしながら「その時」を待つのに違いない。

徳井正樹

# by rijim | 2011-05-29 06:32