徳井正樹の「小坂山日記」

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2011年 01月 02日

継ぐ家

「家を継ぐ」伴走者を務めた。
築90年の古民家。筑波山の麓、大きな農家の大改修だ。

1世紀余を生きた家は、大きな手術がされていることが多い。
理由は概して水回りの改修。
確かに電気と水道とガスが無かった時代だから、
特に、水と火に関わる暮らしぶりは、まさに様変わりだ。
その中で、大抵の住宅はキッチンと風呂を刷新して若世代に何とか納得させ、
家としての余命を待つことになる。
しかし、その家が残るか残らないかは、生活部品の優劣ではない。
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携わった「つくばの家」は、最低限の水回り改修は施したものの、
”家の求める安心感”を始めとした、暮らしの基本は変えていなかった。
ここに今回、設計者としての醍醐味と、建て主としての再満足が隠されていた。

家の間取りと構造は、その時代が要求する。
大正末期に建てられたこの家に託された使命は、
倹しい暮らしぶりと、ハレとケにそぐう平面構成。
つまり、家の主役は家族ではなく、地域の社会秩序と云ったところだろう。

それを今回、一気に「生活者主役」の家に大変身させる。
これは、9回2アウトからの大逆転に等しい。
ただ、ここからが肝心。
「そこにどんな主役が座るのか」を見定めるのが私の仕事だ。
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答えは「南に向けた対話型台所」。
家を活気づかせる舞台が裏から表に変わり、
柳田国男が云う「ケ」が主役を司る家に変身したわけだ。

この民家改修という仕事は、設計も作り手も概して利には合わない。
ただ、百年前の技が蘇り、現代の我々と会話する現場に醍醐味は深い。
毎回では大変だが、時にタフな仕事は Next へのヒントを感じるなぁ〜

徳井正樹
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by rijim | 2011-01-02 07:09


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